
2008.3.7 13:23
ヨタナベは真っ二つに割れた義足を見て、初めて義足を付けた日の事を思い出した。
孤児院にいたヨタナベは物心ついた時から片足だった。
自分がなぜ片足なのか?何か事故にでもあったのだろうか?
自分の事ではあるが全く記憶になく、気づいた時には片足だった。
しかし、ヨタナベは持ち前のポジティブシンキングで片足でも前向きに生きていた。
孤児院内でも人気者で、彼を馬鹿にする孤児達は一人もいなかった。
そんなヨタナベはバスケットボールの神様「マイケル・ジョーダン」に憧れていた。
「バスケがしたい!」
ヨタナベはそれを口にする事はなかった。
「自分、片足ですから・・」
普段は明るいヨタナベもこの件ばかりにはセンチメンタルになっていた。
そんなヨタナベを見て孤児院の院長「コージー・トミタ」は、いつか義足をプレゼントして
やりたいと考えていた。
しかし院長の安月給では義足を買う事は出来なかった。
そこで院長は孤児達には内緒で深夜に営業に出る事を決意した。
院長はモノマネが得意だった。
その年のクリスマスの朝、ヨタナベが目を覚ますと枕元に義足が置いてあった。
「ギ、ギ、義足だ!!しかもナイキのヤツだ!!」
その義足の足の甲の部分には、まばゆいばかりの赤いスウォッシュが施されていた。
「ありがとう神様!!ありがとうサンタ様!!これでバスケができます!!」
ヨタナベは涙を流しながら義足を抱きしめた。
「んっ!?この義足・・暖かいぞ!?」
改めて義足を見てみると、なんとそれは院長の足だった。
「メ、メリークリスマス!」
院長は照れながら言った。実はどこへいっても営業がとれず、交通費だけがかさみ
義足どころかプレゼントひとつ買ってやる事が出来なかったのだ。
「院長先生・・・」
「ら、来年こそは営業とって買ってあげるから!!」
「許せん!!チェストォォ!!!」
ヨタナベは手刀で院長の足を切断し、孤児院を出たのだった・・・
そしてこの日から、ヨタナベはマフィアになろうと決意したのである。
ヨタナベの義足は生足だった・・・だからなんなんだ!!
どうするヨタナベ!!そしてクロイタゴロウの流血は大丈夫なのか?
第10話(作・団長)へつづく